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無線通信タイプ温湿度ロガーを使いカビ発生リスクの早期予知

水による構造物へのカビ被害を予防するにはカビ発生を予知することが重要だ。水被害修復プロジェクトにおいて、個々の修復フェーズ、たとえば取り壊し、乾燥、復元時における関連した湿度情報が必要不可欠となる。

 

2014年12月にサンフランシスコであった豪雨のあと、新築アパートの5階でリビングルームの天井、壁、床に水濡れの被害があった。インスペクターが調べたところドレン内およびバックアップドレンが浸水しているのが分かり、部屋や家具に被害が拡大しないよう一晩中排水処理をおこなった。

 

カリフォルニアにある環境調査会社、ビルデラ社は一台のオンセット社製Bluetooth無線式温湿度データロガーを被害のあった部屋に取り付けた。それはHOBO MX1101というロガーでBluetooth技術を使い、計測した温度・湿度データをモバイルデバイスに無線で送信するというものであった。

 

MX1101ロガーは従来のUSBロガーと違い、データのダウンロードをするためにロガーとパソコンをケーブルで接続する必要がなく、部屋の外にいるビルドラのエンジニアが所持するモバイルデバイスに直接データをダウンロードできるので、エンジニアはテナントの部屋に立ち入ることなく毎日の状況チェックとカビ発生リスクの分析を行うことができた。このことはテナントのセキュリティ問題および時間の節約という点からも大変ありがたい(Fig.1)。

 

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Fig.1: 無料のアプリHOBOmobile(iOS およびAndroidに対応)を使いMX1101ロガーから温度・湿度データを取得したモバイル機

 

HOBO MX1101ロガーはHOBOmobileアプリを使ってデータのダウンロードの他、ロガーの使用条件設定、データ管理、ロガー診断を見通し30m内のスマホ、タブレットで行える。

 

基礎的湿度プロフィールの確立

修復専門員は赤外線画像検査機とハンドヘルド湿度計を使い被害部分を特定した。修復ステップが必要となる広範囲の水被害が確認された。床から天井にかけて水の浸みこんだ石膏ボード、インシュレーションをはがし、除湿機とブロワーで湿った部分の乾燥作業が施された。

 

カビ発生リスクの予知と乾燥工程の確認にはある一定期間の基礎的湿度プロフィールの確立が必要となる。10分間隔のサンプリングでMX1101ロガーを設定し、2ヶ月に亘り温度と湿度(RH)データおよび最低値、最高値、標準偏差の統計値も記録するようにした。この継続記録によって、ランダムサンプリングでは取り逃してしまう、ダイナミックな湿度の変動を捉えることができた。この電子サムプリントは修復スペシャリストとテナントに貴重な考察と科学的エビデンスを提供した(Fig.2)。

as_87_2Fig.2: グラフに示された期間中の4種類の計測値(温度、RH、露点、湿度レシオ)

 

カビ発生リスクの予知

カビ発生リスクを時系列で量的に予知するにはFig.3に示すロチェスター工科大学画像永続性研究所の温度相関曲線Time-to-Mold(TTM) vs. RH(%)を活用できる。例えば、温度50 ? 80 °F のRHが70%以下の場合、TTMは150日以上で、短時間でのリスクは低いが、RHが70%を超えると急速にTTMは下がり、85%RHで5~10日、90%以上で2~3日とリスクは高まる。

 

Fig. 4は絶対湿度を第2パラメータとして追加した改良版カビ-リスク予想曲線マップ。

ANSI/ASHRAE Standard 55-2013では絶対湿度を“与えられた単位量の空気中に含まれる水蒸気重量”で定義される。アメリカでは通常grains per pound (gpp)で表わされる。絶対湿度は温度との関連はなく通常水蒸気圧として言及される。

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Fig. 3: ロチェスター工科大学提供Time-to-Mold

 

as_87_4Fig. 4: RHと湿度レシオを用いた 湿度Mold-Risk マップ

 

大気中湿度に関連した修復イベント

当初のリークから2週間後、カーペットと保護プラスティックシートの間に広範囲にわたる湿気の上昇がみられた。シート下部に観測された水滴がそのことを明示していた。夜には相対湿度が100%、絶対湿度が86 gppに達した。結露(露点)と高い絶対湿度が重なる部分は48時間カビ発生リスクの警告箇所として赤色で示されている。翌日、リークの可能性を点検するためドライウォールが再び剥がされ、差し迫ったカビ発生リスクを軽減するためカーペットも剥がしサブフロアの乾燥処置が施された。その後、保険求償の目的で書類が作成された。

 

この2日間の乾燥処置作業はFig.2内に示される12月中旬の42~47 gppで絶対湿度の急降下が記録されていることからも明らかだ。2014年末に居所復旧工事のための準備作業がおこなわれた。2015年1月中旬にドライウォールからのガス抜きと塗装工事に関係した湿度の急上昇が記録されている。最初にリークが起こってからの2か月間に起こったイベント、すなわちカビ発生リスク、その後更なる被害を防ぐために取ったアクションが連続記録されたデータから良く分かる。

 

まとめ

設置したBluetooth無線式温湿度データロガーは新築アパートで起こった水漏れ事故対処において貴重な考察を提供してくれた。カビ発生リスクを予想し、更なる被害の予防措置、修復作業を計画するうえで相対湿度と絶対湿度の情報は必要不可欠だ。問題が起こってから24時間以内の迅速な対処が更なるカビ被害を止めるうえで決定的に重要である。

 

結論として、建物の所有者および居住者が重大なカビ被害を未然に防ぐには常に可能性のある状況をモニターすることが重要だということができる。

 

著者略歴

Greg Lowitz氏はビルデラ社の創設者でCEO
ビルテラ社は構造検査システム販売、環境データロギング、ビルオーナーおよび個人に対するコンサルタントサービスでグローバルに事業展開をおこなっている。
スタンフォード大学にてBS、MS工学学位取得

 

HOBO and Onset are tredemarks of Onset Computer Corporation, Bourne, Massachusetts(USA)

 

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