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屋上緑化にデータロガー

用途:屋上緑化モニター
産業:調査
組織:American Society of Landscape Architects

最近、どのようにしてより効率的に永続可能な環境を構築することができるかという問題をよく耳にするが、実際その計画や取り付けた機器の費用対効果をどのように確かめることができるのだろう?

 

アメリカ造園家協会(ASLA)が自身のワシントンD.C本部屋上にデモ用グリーンルーフを設置したときに思ったのはこのことだった。

 

グリーンルーフは屋上を防水性メンブレンで被覆し排水機能と補強を持たせた後、土壌でカバーし植物を移植した構造。このようなルーフは主に2種類あり、広範囲型グリーンルーフは土壌層厚6インチ以下で根の浅い地上を這う種類の植物を育てるタイプ。一方、集約型グリーンハウスは土壌層厚が6インチから2フィートあり大型園芸植物、潅木、場合によっては樹木も育てることができる構造となっている。

 

ASLAの屋上緑化設計事務所、Michael Van Valkenburgh Associates, Inc.はこの2つのタイプを組み合わせた複合屋上ガーデンを創造した。その構造は潅木が植えられた傾斜屋根で園芸植物の繁茂する上を吊り下げ型遊歩道エリアが存在する革新的なデザインとなっている。

 

屋上緑化は景観以上に都市におけるヒートアイランド現象を緩和する効果があると言われている。例えば、嵐における雨水管理や断熱によるビルエネルギー節約効果など。今回のグリーンルーフの主目的はデモンストレーションであるので、ASLAはその性能面でのデータを必要とした。

 

バッテリー式データロガーが採用されたのはこのためであった。ASLAで働くKeith Swann氏は屋上の温度をモニターすることを任されている。ヒートアイランド効果は特に黒色屋根や舗道が日射エネルギーを吸収することでその上の温度が増加し、結果的に都市全域の温度が上昇することとなる。反対にグリーンルーフは日射吸収を和らげ、植物による蒸発散と日陰および土壌に含まれる水分により温度を下げる効果がある。

 

ASLAのグリーンルーフは2006年4月に設置され、同年7月にオンセット社製バッテリー式データロガーが取り付けられた。ホボペンダントと呼ばれるロガーは温度をユーザーの希望する記録間隔で指定し、1回の運用で最長1年間連続使用できる。使用バッテリーは市販のボタン電池で、ロガーの電子基盤はプラスティックハウジングに封入され防水、耐塵構造となっているので環境の厳しい屋外でも屋内でも使用できる。

 

ロガーはグリーンルーフの3箇所で温度をモニターしている:植物を移植した傾斜屋根上、金属製グレーティング下および階段。更にデータロガーは周辺の旧来型黒色タール屋根と無タール無屋根にも取り付けられている。

 

「ホボデータロガーは以前使用していた温度計測器に比べとても使い易い。その超小型のサイズとポータビリティは設置において非常なメリットだ」とSwann氏はいう。

 

Swann氏は専用ソフトHOBOwareを使い2時間間隔でデータを記録するように設定している。データを回収するときは単にラップトップコンピュータを持って屋上に上るだけ。データ回収に要する時間はロガー1個につき30秒以内という。Swann氏はHOBOwareを使って設置場所全てのデータを一つのグラフに表示して分析している。ロガーとソフトの使い易さには驚くばかりと絶賛する。

 

2006年7月から2007年5月における1日の最高温度はグリーンルーフの方が周囲の従来屋根に比べ約18℃低いことを示している。「グリーンルーフと従来屋根の温度差はグリーンルーフの絶縁効果を評価するのに十分であるが、それが全てではない。グリーンルーフが電気消費の節約に役立つかどうかを判断するために設置前と設置後における評価を行ったところ、グリーンルーフは電気消費を10%抑制する効果があるという判断がなされた」とSwann氏は説明する。

 

冷却および絶縁は植物の成長に従いその効果の増進が期待できる。データロガーのおかげでSwann氏とASLAは毎日訪れる見学者にグリーンルーフがどのように機能しているかを紹介できるという。

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HOBO and Onset are tredemarks of Onset Computer Corporation, Bourne, Massachusetts(USA)

 

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