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セーシェル諸島のさんご礁状態調査

用途:環境影響
産業:調査
組織:Aldabra Marine Program

近年さんごの白化現象による生息域の減少が地球規模の関心事となっており、科学者や研究者にさんご礁の健康状態を調査する動機付けを与えている。この白化現象の影響を受けている地域の一つにインド洋西部、マダガスカル島北部に位置するセーシャル諸島南海域がある。

 

白化現象は海洋の水温上昇に関連していると考えられ、この地域の40~50%に当るさんごがさまざまな環境ストレスで漂白し傷ついている。研究者は海水温の上昇がさんごの生態系に与える影響をより良く理解するため、長期海水温観測プログラムを進めており、その水温計測用ツールとしてホボウォターテンプロガーが使用されている。 

 

“さんご礁は地球上で生態系を生み出す最も重要なものの一つで、それは熱帯地域における雨に等しく、海洋の生態系にとって最も重要なものだ。だからさんご礁の白化現象が起こっているということはその地域の生態系にも大きな影響が起こっているということを意味している”とアルダブラ・マリン・プログラム(AMP)の主任調査員、Ray Buckley氏は説明する。

 

“我々が主に調査を集中している地区はAldabra Atollで、なぜかと言うとそこは人間生活の影響をほとんど受けない大規模なさんご礁生態系がまだ残っている場所で、自然界が環境変動に対して実際どのように反応し、何が起こるのかを知るのに最適な地球最後の自然研究場所と思われるからだ”という。

 

Buckley氏とAMPチームは海水温モニターのためにホボウォターテンプロガーをAldabra Atoll地区、Assomption地区、Astove地区、St Pierre 島東部地区のいくつかの観測点に設置している。データロガーは杭にケーブルタイを使って固定し、30分~1時間間隔でデータを記録している。

 

“そのデータロガーは長期間さんご礁に取り付けて使用すると表面は海洋微生物が付着し硬い殻で覆われてしまうが、そのような状態でもロガーは正確な水温データを取り続けてくれる”とBuckley氏はいう。

 

ホボウォターテンプロガーは測定範囲全域において精度±0.2℃、42,000サンプルの記録容量を持つ長期間運用に適した測器といえる。

 

ロガーに蓄積されたデータはUSB式光学通信インターフェースを介してラップトップパソコンに直接、迅速に回収できる。光学式インターフェースを採用することで旧来の水中用データロガーで使用されている機械式コネクターで起こりがちなトラブルを解消し、水濡れした状況下においても高速にデータをトラブルなくオフロードできるよう設計されている。

 

回収データは専用ソフトHOBOware Proを使い12ヶ月におよぶ水温変動を簡単にグラフ変換し解析することができる。

 

“ほとんどのさんご白化現象における研究は人間が介在した影響が存在する場所で行われている。これらの研究はさんごの健康についてより良く理解するうえでは重要であるが、人間による影響が存在しないところで生態系がどのように反応するかについての基本的理解を提供することはできない。Aldabra Atollは純粋な自然が残されているので、人工的影響のない環境下の水温上昇でさんごや魚類がどのように反応するかを知る上で貴重だ”とBuckley氏は説明する。

 

人工的開発の大きな影響を受けたさんご礁生態系は通常生きたさんごから藻類へ生態系が変化する傾向にあることは研究者には知られている。

 

“そのとき魚の種類も草食性魚が主な魚種に変化し、死んださんご礁には藻類が繁茂し、ついにはさんごが復活することが困難になる。これがさんご礁生態系に起こる重大な変化だ”とBuckley氏はいう。

 

Buckley氏によれば過去10年間において、人間生活の存在しないAldabra Atollではこのような魚類の際立った変化は起こっていない。

 

“この地域ではさんごの白化現象が藻類支配の生態系にはまだ変化しておらず、魚類にも重大な影響は及んでいない。魚はさんご礁が急速に減少しても新しいさんご礁の出現に対しうまく対応できたとものと考えられる。もし生態系に与える他の変化がなければシステムのマトリックスが変化しても魚は生息域の変化には能動的に反応できるということが分かった”という。

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