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韓国の沿岸環境調査

産業:水中調査
組織:韓国水資源公社(K-Water)
適用:水力発電ダムの排水が沿岸に及ぼす影響調査

韓国水資源公社(K-water)は韓国において飲料水および工業用水の開発・供給に責任を負う政府系会社。1967年に設立され国内の多目的ダム、水供給ダムおよび水供給システム全般にわたりその任務を遂行する。
 
2013-2014年からK-waterは水資源事業が韓国南部沿岸の生態系にあたえる影響について調査してきた。調査はK-waterの主任研究員ウォン博士のもと水力発電ダムからの排水が下流の沿岸水域の塩分濃度と水温にどのような影響を及ぼすかについておこなわれた。また、干潟の温度変化と貝の生息密度への影響についても調査された。
 
このプロジェクトは漁業管理関係者による苦情に対応することが発端であった。
 
”漁業関係者は水力発電からの放流が下流域の水温と塩分濃度の低下を招き干潟での貝の生産に影響を与えることを心配した。


 
ウォン博士のチームはダム貯水池、河口、干潟、沿岸海域、流域の3つの特徴の異なる分岐点を含む15の場所において温度と導電率の変化を観測した。データの収集にはOnset社製HOBO水位、導電率、水温用のデータロガーを使用した。
”ダム排水の生態系への影響を調査するためには時間と空間の両面での継続的・長期的データを日単位、週単位、季節単位、年単位で必要となる。このような要求に対してHOBOデータロガーは使用が簡単で信頼性が高く、最も費用対効果がよい方法”とウォン博士はいう。
 
観測機器はブイにロープで固定して水中に設置した。沿岸域においてはロガーを養殖用水産施設に固定した。干潟ではHOBOウォーターテンププロv2ロガーをケーブルタイで板に固定し、板を埋めてポールに固定した。
 
調査期間を通じ観測を行い、データ回収は2カ月に1回の割合で実施した。塩分濃度は
10分間隔で記録した。気温、海水温、干潟温、排水温も収集した。Onset社のグラフ解析ソフトHOBOwareをフィールドでの即時評価用として使った。収集したデータはMS Excelにエキスポートして詳細解析できる。
 
この調査で分かったことは、温度は自然領域、ダム領域、都会領域、海水領域によって異なり低温化の影響は限られた季節要因が影響している可能性が大きい。また、調査チームは水力発電の排水が海水温に影響を与えている可能性はほとんどないと結論した。調査結果は漁業関係者との話し合いに使用される予定とのこと。
 
淡水の流入が常に水温低下などの影響を与えるとは限らない。沿岸においては季節要因や海洋条件など、より重要な要因を考慮すべき“とウォン博士はいう。
更なる調査として、湾への流入域を同様の方法で評価する可能性について言及した。“わずかな温度や塩分濃度の変化が環境に何らかの影響を与える可能性はある。継続的なデータ収集が重要”と博士はいう。


 
ウォン博士は韓国の科学雑誌に論文を発表し、関連学会でも研究結果を発表した。また国際科学雑誌にも論文を発表する予定。

 

HOBO and Onset are tredemarks of Onset Computer Corporation, Bourne, Massachusetts(USA)

 

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