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ハリケーン‘カトリーナ’が残したその後の潮位調査活動

用途:水文
産業:科学調査
組織:Rogers Surveying

2005年8月にメキシコ湾岸よりアメリカ本土に上陸したハリケーン、カトリーナはアメリカ史上最大級の災害をもたらした。洪水によりニューオリンズの53の堤防が決壊し、市の80%が浸水し、死者は2,000人を数えた。

 

この壊滅的な出来事のあと直ちに災害調査委員会(IPET)が立ち上げられ、なぜニューオリンズにおいてハリケーン防災システムが機能しなかったのかについて研究が開始された。IPETには150名を超える科学者、技術者、民間有識者が参加し、さらにアメリカ陸軍工兵司令部、米国海洋大気庁(NOAA)、民間建設業からの技術者から構成される‘標高測地と水位データ’チームなど専門チームに分かれた。

 

チームはさまざまなハリケーン防災構造や過去の情報を分析する中でハリケーン防災システム構造の設計で使われた標高データについての矛盾や書類の不備があることを知った。またニューオリンズ地区における共通の垂直データ(標高や水位を測定するときの参照ポイント)を確認する目的での座標系の統一が欠如していることも分かった。それはまた陸軍工兵団の技術指導書にある測地データの更新も推奨することとなった。

 

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IPETの報告、特に‘標高測地と水位データ’チームの発見にもとづいて工兵団はアメリカ全土の現測地垂直データ、例えば北アメリカ測地垂直データ1988(NAVD88)を確認する再評価プロジェクトに取り組むこととなった。この計画はプロジェクトデータム総合評価(CEPD)として知られており次の内容を含む:対洪水垂直データ総合評価、海岸防災、ハリケーン防災、航行計画。

 

ニューヨーク地区工兵団はCEPDに対する潮位調査をRogers Surveyingに委託した。Bert Wyness氏はRogers SurveyingでCEPDのプロジェクトマネージャを任される。氏によれば会社はニューヨーク、ニュージャージ地区において陸軍工兵団の7つのプロジェクトを請け負っているという。

 

Wyness氏によればアメリカの標高ネットワークは平均海抜基準を決定するためにニュージャージ州サンディフックの基準をもとに1929年に定められた。しかしCEPDの目的はそれぞれの工兵団がある場所のNAVD88測地垂直データを決定することだった。平均海抜は特定の水域により変わるが、NAVD88は従来の基準値と併用することで海抜によって影響を受けないデータであるため更に有益なものとなる。

 

最初のニュージャージ州シュルーズブリー川のプロジェクトでは10台のオンセット社製ホボ水位ロガーが川のキーとなる場所に設置された。また気圧データ取得のためもう1台のホボ水位ロガーが大気中に設置された。水中のデータロガーで取得したデータから気圧データを差し引くことで水位データに必要な水頭圧のみのデータが得られる。

 

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“ホボ水位ロガーはこのプロジェクト遂行には極めて有益だ。多才にもかかわらず使い易い。小型なので設置がとても簡単。価格が手ごろなのも良い。特にまとまった数が必要なときは予算上重要なポイントとなる。データ回収も迅速で、携帯型のシャトルを使えば計測サイトで何台ものロガーのデータをまとめて回収でき、後でシャトルだけを持ち帰りパソコンにデータをダウンロードできる”とWyness氏は話す。

 

“東ニューヨーク川およびニュージャージ・サンディフック湾を含む7箇所の工兵団フィールドでの作業は終わった。今は多くの報告書を作成するのに格闘中。ハリケーン- カトリーナの教訓による垂直データの矯正作業はすべての人に同一の価値を与えるものではないかもしれないが、新たに更新される正確な情報は将来同じような災害が起こったとき必ず被害を最小限にしてくれると思う”とWyness氏は締めくくった。

 

HOBO and Onset are tredemarks of Onset Computer Corporation, Bourne, Massachusetts(USA)

 

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