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ミクロネシアのサンゴ礁調査でミニデータロガーが活躍

用途:海洋調査
産業:自然科学
組織:Oceanearth, Inc.- 著者 Stephen E. Smith, Ph.D

コスラエ島はハワイの2,500マイル南西、赤道から北緯約5度に位置するミクロネシア連邦の一番東側にある。この面積42平方マイルの島は西太平洋の中で汚染が最も少ない美しいさんご礁の残る場所の一つと考えられている。1996年以降コスラエ政府の代表者を含む関係者と民間の環境団体はカリフォルニアにあるNPO Oceanearth,Inc.と共同でサンゴの健康状況を長期でモニターする事業に取り組んでいる。プロジェクト開始から最初の2年間、55個以上の係留ブイを島の周囲に設置し、地元漁民にはサンゴを傷つけないような船のアンカー方法を提示し協力してもらった。同時に15箇所の係留場所が恒久的な環境観察地として選定された。以後科学者とボランティアのダイバーは共同で少なくとも年1回は機材の点検、サンゴの健康状況の評価を広範囲に行っている。同時に食用および商取引の対象となる魚と、現地消費用および輸出用で漁獲される無脊椎動物の個体数調査も行ってきた。

 

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調査では気象や濁度、水温、塩分濃度、pHなどのさまざまな海水環境条件の計測が行われている。プロジェクトの初期段階で、ある観測点において海水温と濁度に何らかの関連があることが認められたが、サンゴの健康とその予測値の関連については限定的であった。2008年後半、以前サンゴの白化現象が観測された重要な場所に4個の温度・照度用ホボペンダントロガーを一組として設置した。これらロガーは水深約30フィートのサンゴの根元に打ち付けられた鉄筋に取り付け、水温と照度データを15分間隔で記録するよう設定し9ヶ月間放置した。2009年半ばにデータ回収作業を行い4個の内3個のロガーからデータを回収することに成功した。ミクロネシア連邦における長期に亘る水温計測データの取得はこれが初めてだった。取得データは温度の影響を他の環境と人工的なストレスから区別するのに役立つと期待されている。さらに照度データはサンゴの産卵を予測するのに有用であると考えられている。

 

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データ回収後ロガーはバッテリー交換を行い、再び長期間の運用のため観測地点に設置された。ロガー設置方法の改善努力で2010年10月にはロガー4個全てにおいてデータ回収に成功し再設置することができた。このデータロガーの運用は今までのところ完璧と言っても良く、調査研究者に貴重な長期連続水温情報を提供してくれている。データ回収、バッテリー交換および保守の簡便・迅速さは、現地で限られた時間しかない調査員が運用を効率的に行うことを可能にしている。将来はサンゴの生育と生存に影響を与えると考えられている他の場所にもホボデータロガーの追加設置を検討している。

 

HOBO and Onset are tredemarks of Onset Computer Corporation, Bourne, Massachusetts(USA)

 

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