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コウモリの病因をデータロガーを使って調査

用途:野生生物調査
産業:調査
組織:Montana Bat

野生生物研究者は米国東北部においてコウモリの生存に重大な危機が発生していると警告する。その地域において百万匹近い数のコウモリが冬眠中に死んだとみられ、研究者は原因解明のため調査を開始した。その説明不能なコウモリの病気は罹患したコウモリの顔に白いカビ状の輪が現れることから“白鼻症候群(WNS)”と呼ばれている。

 

Carl Bakker氏は急速に広がるこの不可解なコウモリの病因について研究している。この症候群が今後どれぐらい西部に広がるのかを判断するために開発された早期警報システムについてBakker氏の話をもとに記述する。

 

WNSは重大な問題となってきており、毎年何十万匹ものコウモリの大量死の原因となっている。コウモリは冬眠に入るとき自身のエネルギーを温存するために代謝と免疫システムを止める。そのときに症候群と関連する何かが起こっていると思われる。コウモリがWNSにかかると免疫システムが呼び戻されエネルギーが消費される。そのときコウモリはエサを求めて厳寒の中、屋外に飛び出し、結果的に餓死しているものと考えられる。昨秋、WNSが起きた時、費用対効果に優れた早期警報システムの開発を検討したという。

 

WNSの死亡率は90~95%であるが、コウモリの生息数が分からなければどれぐらいのコウモリを失うかが判断できないという考えで検討した。早期警報システムの構築にはコウモリの生息する洞窟の微気象データと、コウモリの飛来経路を判断する必要があった。

 

ラスベガスのコウモリ検知デザイナー、Tony Messina氏との対話で我々は40kHz帯の超音波を測定できるセンサーとロガーのプロトタイプを製作することを思い付いた。データ記録のためにコウモリの可聴覚帯の超音波を発生しない低価格で小型ポータブルなデータロガーを必要とした。ロガーはこの要求基準を満たすオンセット社製ホボ

 

006を採用しプロトタイプシステムに組み入れた。

 

最初はそのシステムをモンタナにある洞窟内に設置するつもりだった。この年の降雪は非常に早くやって来たので洞窟のある高度2400メートルまで行けなかった。そこで我々はコウモリが冬眠しているのを知っていたウランの廃坑跡であるダンディマインを使用することにした。そこでの外気温度は約-12℃、坑内温度は約3℃だった。

 

我々の考えた方法でシステムがうまく働くかを確かめるためシステムを坑内に冬期間中ずっと設置しておいた。検知器は絶えず40kHz帯の超音波をスキャンした。音波が検知されると、それはチップとしてロガーに蓄積される。15分ごとにロガーは”wake up”状態になり、センサーに信号を送る。そのときセンサーはデータロガーにコールされた数をもとに値をダウンロードし、蓄積数をゼロにリセットする。15分ごとにこのサイクルを繰り返す。初春に取り出し、システムがうまく働いていたことを確認した。坑内で超音波は検知できていた。 春遅く高度2400メートル地点まで到達できるようになれば当初予定した洞窟にシステムを設置し更に調査するつもりでいる。またその時は温度・湿度データロガーも設置する予定。

 

米国中西部の気候、急変する気温を取り扱うことは特に難しい。 虫が侵入を防ぐのにスクリーンが無いとか、凍りつく夜に暖房が無いとか、気温が32℃にもなるのに空調が無いとか、このような状況ではどうなるか考えてください。 実はこのような状況がミネソタやウィスコンシン州に生息するルリコマドリに起こっている。 ブリス・プレーリ保存協会員のLief Marking氏と他の会員はボランティアでどのような巣箱がルリコマドリにとって最適なのか実験を続けている。 Marking氏が巣箱の通気孔を閉じることで初夏におけるブユの侵入を防いだと思った矢先に若鳥にとっては致命的な気温となり得る38℃の日がやって来る。その前は最初の雛がかえり氷点下にもなる夜が時々あったというのに。

 

ブリス・プレーリ保存協会員のMarking, Fred Craig氏はウィスコンシン州天然資源部 Cindy Koperski各氏と共同で昨年4月15日から8月31日にかけていくつかの複雑な実験を行った。彼らはさまざまな条件の違う巣箱の内部温度を測定した。いくつかの巣箱は日陰になるようにし、いくつかは通気孔付きにし、またいくつかは換気孔無しにした。巣箱内温度はホボペンダントロガーを使い1時間ごとに記録した。

 

Marking氏はこの実験で得たデータを分析した結果、正しい方向性が見つかったと考えている。“今は全ての巣箱を切り替え式巣箱にしている。春は鳥の出入り口だけを除き換気孔は閉じ、夏場は必要に応じ通気孔を開放している”と言う。 巣箱の前後に取り付ける日除けパネルはクギではなくネジを使っている。左側パネルは4本のネジで、右側は2本のネジで止め、天板は保守のため開くことが出来るようにしている。“春は両側のパネルを閉じ通気を減らし巣箱の保温とブユの侵入を防いでいる。夏に気温が上がりすぎるとネジで止めたパネルを動かし、風通しが良くなるよう少し開放する。巣箱の調整は巣の中に卵や若鳥が居ても行う。一般的に鳥の生存率が50%なら成功で75%なら驚異的な改善と言える”とMarking氏は話す。“巣箱の塗装は推奨しない。塗装は木材の呼吸力を殺し、色の濃い塗料の場合、夏場には熱を吸収し更に暑くなる。シーダー材の寿命は塗装しないで15年ぐらいなので塗装は必要ないでしょう?”とも話す。 Marking氏は既に何百個もの巣箱の点検・清掃を終えて、ルリコマドリが営巣するのを待っているが他の人もその前に同じような対策をすることを推奨している。

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HOBO and Onset are tredemarks of Onset Computer Corporation, Bourne, Massachusetts(USA)

 

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