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カタール沿岸海水温と環境影響の調査

用途:環境影響
産業:調査
組織:GHD Global Pty Ltd By Joanna El Khoury, Environmental Scientist with GHD Global Pty Ltd

カタールのドーハ国際空港(NDIA)は2011年の開港をめざし2004年に建設が始まった。計画では総面積22km2、年間旅客数最大延べ5,000万人を処理できる。滑走路はカタール沿岸の浚渫で採取した土砂材料を使って建設された。

 

法令で要求される環境管理プログラム遵守の一環として、NDIAはGHD Globalと2年間に亘る四半期ごとのNIDA空港周辺と土砂採取地域の環境モニタリングおよび海洋生態への影響評価契約をおこなった。

 

これはカタールにおける最大規模のプロジェクトであった。この規模のプロジェクトの場合、環境へのリスクを考慮し、カタール環境省は建設後の環境モニタリングを要求するのが常である。特に重要なパラメータは温度である。

 

空港周辺には海水温に大きく依存する海草やさんご礁が多く存在する。海水温が上限・下限の閾値を超えれば、これら生態へ影響を与える可能性がある。海洋生物に何か変化があった場合、長期間の水温データを保持することで問題の分析を行える。

 

水質および堆積物の組成モニターもおこなっている。空港建設は周辺環境を大きく変化させるので関係者はいま何が起こっているかを知る必要があり、データは報告書として顧客と環境省に定期的に提出する。

 

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Fig.1 NIDAの改定に設置したホボ水温ロガーの傍らで泳ぐバットフィッシュとカーディナルフィッシュ

 

 

海洋環境・生態モニタリング計画の主な項目:

・水質を決定する鍵となる指標、物理化学パラメータ、海洋汚染に関連した栄養物質のモニター
・堆積物パターンのモニター
・摂餌習性の変化
・魚類資源の変化

 

要求を満たすため、GHDのダイバーが2008年5月、沿岸の深度1.5m~9mの範囲、6箇所にホボウォータテンププロロガーを設置した。ロガーはFig.1に示されたようにケーブルを使って沈殿物除去器に簡単に取り付けることができた。そのロガーに蓄積されたデータはホボウォータプルーフシャトルを使って毎月1回海中で回収している(Fig.2 & Fig.3参照)。

 

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Fig.2 GHDのダイバーがNDIA近くに海底でウォータープルーフシャトルを使いロガーからデータを回収中

 

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Fig.3 ロガーからデータ回収に使用されたウォータープルーフシャトル

 

ホボウォターテンプロガーは長期間に亘り水温モニターのために使用している。水温は化学的、物理的、生物学的に水中での有機物に対し、成長などいろいろな点で影響を与えることが知られている。従って水温の変動をモニターすることは非常に重要である。

 

NDIAの周辺沿岸はアラビア湾の典型的な特徴を有し、海水は12~1月で最低温度10℃、6~8月の高温時において30℃台の範囲で推移するのが通常である。

 

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Fig.4 NDIAプロジェクトで2009年3月28日~2009年6月6日に記録された海水温度

 

Fig4で は6月に最高38℃を記録したことを示している。 

GHDではこのプロジェクト以外にもアラビア湾の多くの長期環境モニタリングプロジェクト、例えばサウジアラビアのラスアズズールでの海洋生態調査などでホボ水温ロガーを使っている。その調査では2008年1月に9℃以下を記録した。

 

長期間のデータを収集することは重要である。
一般的にアラビア湾の環境は非常に苛酷で、温度変動が極めて大きい。このような温度帯域が水中の重金属や栄養分の含有に影響を与えていると考えられる。水質と沈殿物の解析を四半期ごとにおこなっている。

 

ホボデータロガーの運用は、データを回収するためにロガーを海中から引き上げたり再設置したりする必要がなく、水中でホボウォータプルーフシャトルを使ってデータを回収するだけで連続使用ができるので使用が簡単。データの解析は専用ソフトHOBOwareを使って行っている。そのソフトはMS Excelなどの統計ソフトにもデータを簡単にエキスポートできるのでとても便利。

 

HOBO and Onset are tredemarks of Onset Computer Corporation, Bourne, Massachusetts(USA)

 

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