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東ワシントンカスケードでの森林再生研究

用途:森林再生
産業:森林管理
組織:Department of Forest Engineering, Resourced & Management

カスケード山脈頂上近くのように高度が高く、厳しい環境下において再生植林事業を行うのは、雪や大きな気候変動のため多くの困難がともなう。困難を克服する方策を見つけるため2つの植物種、ベイマツおよびカラマツをシェルターに入れヤマカネーションの2地点に設置し、調査がおこなわれた。

 

東ワシントンカスケードの高地では春植物の成長に適した期間は非常に短い。更に、土壌水分、気温、湿度、日射などの急激な変化が低地と比べ多くの困難を負わせている。この地域での土壌水分の大部分は春の雪解け水でまかなわれている。雪は土壌と植物の苗を冬の低温や風などの気象変動から隔離する効果がある一方で、一旦雪が融けると、環境は低温・湿潤から高温・乾燥と急激に変化する。

 

高地では春後半までは積雪で現地に近づけないため、その頃の苗付けは不可能かもしれない。また現地に近づける頃には土壌水分は許容範囲外の低さまで下がっている可能性がある。苗付けが成功するかどうかは雪解けの春と夏の短期間が重要である。しかし雪が無く道路が使え、現地に近づける秋期の苗付けも潜在的可能性はある。ただし高地での秋期データはほとんど無い。

 

秋期苗付けリスクについては現地状況を慎重に検討する必要がある。高地では種子を乾燥期に強い紫外線から保護するためのシェルターが必要になるかもしれない。シェルターは湿度を保ち、CO2温度を上げ、動物に食べられることを防ぐ効果も期待できる。

 

管理者はシェルターの使用をその購入と設置コストも含めて検討する必要がある。そのコストは苗の生存率を相殺するかもしれないし、そのことによって将来もっと効率的な植林が確立されたとき再生植林の要求が減ることもある。この研究の目的はベイマツ、カラマツが植えつけられた日、シェルター、周囲環境などによる影響を定量化することにあった。

 

 

環境測定

各々の観測地点にホボマイクロステーションロガーを使って、気温、湿度、深度15cmの土壌温度および土中深度10cmと20cmの土壌水分をモニターした。計測は2005年8月から2006年9月にかけて6時間間隔で記録を行った。

 

 

結果:環境状況

秋期苗付けを行った各々の日の土壌温は5℃を少し上回る程度であった。それは3回目に苗付けをした日から危機的温度の5℃以下になるまで、わずか1週間しかなかった。カラマツ苗付け地点の土壌水分は1回目の苗付け時には10%であったが、10月の苗付け時にはほぼ20%に上昇していた。

 

ベイマツ地点での土壌水分は全3回の苗付け日において11%~12%であり、3回目の苗付けから5日経過するまで上昇は見られなかった。両方の種類のプラント苗床サイトにおいて土壌水分の最高値は2006年5月に記録されていた。それ以降は急速に減少していった。

 

気温については土壌温の季節的変動とほとんど同じパターンを示した。

 

 

結論:

両種のプラントにおいて、シェルターで保護された苗は無保護の苗に比べ、積雪によるダメージが多いにも関わらず成長1シーズン後の生存率は高かった。カラマツ地点の土壌水分は1回目の苗付け日と2回目の苗付け日において10%から17%に増加していた。結果としてカラマツの苗付け日の違いによる生存率に影響はなかった。ベイマツ地点では全ての苗付け日において12%以下であった。結果として1回目の苗付け日についての生存率は僅か2%であった。この結果、苗付け時の土壌水分と植え付け後の降水が極めて重要であることを示している。シェルターの使用は高地での生存率を高める効果はある一方、積雪によるダメージが増える潜在的可能性がある。

 

 

引用:The Society of American Foresters

By Michael Taylor, Weyerhaekuser Company, Diane L. Haase, Department of Forest Engineering, Resources & Management, and Robin L. Rose, Department of Forest Enginerring, Resources & Management

 

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