製品情報
絶滅危惧種ムール貝の生息域DOレベル調査
用途:溶存酸素モニタリング
産業:環境調査
組織:CCR環境株式会社
北部ジョージアに間もなく新しい飲料用貯水池、レイクマッキントッシュが建設される。計画されている650エーカの湖はフェイエッタ郡とコウェータ郡の境に位置し、最終的には日量1000万ガロンの飲料水を供給する。しかし、フェイエッタ郡水道局はその前に予定地に生息する絶滅危惧種、ムール貝に影響がないことを証明する必要がある。
CCR環境のクリス・クロウとそのチームがここに来たのはそのためである。彼らは建設予定地の下流域、ラインクリークの物理的および生物的調査を行っている。データ収集にはオンセット社製ホボU26溶存酸素ロガーを使用している。
水中のDOレベルは水環境の重要な指針である。すなわち高溶存酸素は生物の高生産性につながり、低溶存酸素は低生産性につながるという相関性がある。ムール貝も含め、すべての生物は酸素を必要とするため、溶存酸素量は水属生物にとって環境健全性を知る上で重要な指標となっている。
絶滅危惧種保護法に基づき、USFWS(米国魚類野生生物局)は連邦が保護する生物に影響を与える可能性のあるプロジェクトについてはすべて、諮問機関の評価を要求している。レイクマッキントッシュ計画はムール貝に対して潜在的な影響があると判断された。
これまで、クロウ氏とそのチームはハンドヘルドプローブを現地に持って行き、DOレベルを測定していた。“当初の計測オプションは手動によるものだった。ただ、これは週1回計測器を持って夜明け前までに現地に行かなければならないという問題があった”とクロウ氏はいう。DOレベルは夜明け前に最も下がるため、夜明け直前に計測するのが一般的なための苦労だ。
オンセット社製DOロガーはセンサー・メモリー・電源一体型で淡水、塩水にかかわらず水中に設置するだけで何週間もの間、自動的に計測ができる。計測間隔はユーザで設定でき、記録データはラップトップやシャトルと呼ばれるデータ回収器を使って簡単にダウンロードできる。専用ソフトはロガーの使用条件設定や回収データのグラフ化・解析がおこなえる。ロガー精度は0.2 mg/Lで最長6ヶ月間の連続使用が可能。またセンサーキャップの交換が簡単という特徴もある。
ロガーの設置も簡単。クロウ氏によれば“ロガーは水位が下がったときでもセンサーが暴露しないよう、また水が滞留しない流れのある深いところに設置するのが重要”という。この調査ではラインクリークの砂底に6フィートのフェンスポストを使って設置している。ロガーはそのポストのU型溝に垂直方向にジップタイを使って固定している。
“プロジェクトは5月初めにスタートした。最初の2~3回は現地まで行き手動で測定していたが、その後ロガーを導入した。ロガーを設置し、1週間後に現地に行き、それが動作していることを確認した。その後4~5週間ごとにデータを回収している”という。また、チームでは校正したハンドヘルドプローブを使ってロガーの計測値を確認している。
クロウ氏はロガーを使ってのデータ収集が気に入っている。“現地ではオプティックベースステーションをラップトップにつなぎデータを回収し、ロガーを再始動させ帰ってくるだけ”という。
予想通り、DOレベルは真夏に最低値を示していた。それはクリークの流量が最少となり、水温が最高(低水温は高水温より多くのガスを含有できる)となる時期に重なっていた。“ロガーを使うことで数値の変動が詳しく見ることができ、今ではデータの昼夜サイクルなど日周期も観察できるようになった。夜明け直前にDOレベルが最低になることが本当だということも再確認できた”とクロウ氏はいう。
収集したデータはUSFWSが要求するDOレベル情報を提供し、クリークの流量がどれぐらい下がるとDOレベルに影響を与えるのか、言い換えれば流域の生物に影響を与えるかの判断に役立つと考えられる。また、そのデータはレイクマッキントッシュダム建設後の流域データとの比較基礎データとしても利用できるだろう。USFWSはダムからの放水に関連した長期間のDOレベル観察を要求しており、フェイエッタ郡水道局の委託によりCCRが調査を行う予定である。
クロウ氏がオンセット社製DOロガーを選定したのは、価格が他のロガーに比べ非常にリーズナブルであったというのも大きな理由であった。高機能で高価なロガーは今回の調査目的には必要なかったという。ホボDOロガーの性能に自信を持ったので、これからの新しいプロジェクトでも積極的にこのDOロガーを使うつもりだという。
HOBO and Onset are tredemarks of Onset Computer Corporation, Bourne, Massachusetts(USA)
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