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Bluetooth通信データロガーで環境モニタリングを効率化

産業:ビル性能評価
組織:出光美術館
適用:美術館保存環境の最適化

出光美術館は、1966年(昭和41年)、出光コレクションを展示する美術館として東京都千代田区丸の内に開館、皇居外苑を見渡せる帝劇ビル(東京都千代田区)の9階にある。
展示は日本の書画、中国・日本の陶磁器などから、テーマに沿った内容で年5~6回の展覧会を開催。併設として、コレクションを代表するルオーの作品を紹介する専用展示室があるほか、アジア各国および中近東の陶片資料を集めた陶片室などがある。

これらの貴重な美術品を、現在そして未来の来館者が観賞できるよう、美術館職員は、作品を保管するために適した環境を維持することに細心の注意を払っている。温度と相対湿度の過度な上昇は、美術品の破損や劣化を招くため、管理が特に重要となる。高湿度はカビの形成を促し、美術品の表面劣化や腐食につながり、高温度は熱損傷につながる恐れがあるからだ。

「美術館内の温度湿度環境は、季節によって変化する外部環境によっても影響を受けます。」出光美術館の職員は言う。「室内環境を一定に保つために、継続的な環境モニタリングが必要です。継続的に取得したデータは、微妙な外部環境変化に対応して空調設備をコントロールするのに非常に役立っています。」
 

美術館では紙を使用した数多くの美術品(絵画、古書)を所蔵しているが、紙は、環境変化にとても敏感だ。特に数多く所蔵されている日本画は、過度な温度・湿度環境から保護する必要がある。また、金属製・木製の美術工芸品も、劣化や腐食を防ぐために高湿度環境を避けなければならない。

出光美術館では展示室から離れた場所に収蔵庫があるが、当然、収蔵庫内も常に適切な温度湿度環境を保たなければならない。変化が起きやすいため、収蔵庫から展示室へ美術品を運ぶ際の温度湿度環境にも注意が必要だ。

美術館では、館内の環境を計測するため、従来、アナログタイプの自記湿度計などを使用していた。そして、10年ほど前から、データの扱いやすさと、より正確な計測結果を得るため、小型データロガーを使用し始めた。
しかしながら、なお、館内職員たちは、データロガーの設定やデータ回収に関連し、いくつかの問題を抱えていた。

「初めに導入したデータロガーは、設定とデータ回収の際に有線でパソコンとデータロガーを接続する必要があり、その都度、展示ケースを明ける必要がありました。」と美術館職員は言う。「展示ケースを開けることで、ケース内の環境が変化してしまい、そのことは私たちが避けたいことでした。また、このようなデータ回収作業は、時間と手間を要するものでした。」
さらに、展示室の一画にある伝統的な日本茶室は独特の問題を抱えていた。茶室は普段は立ち入り禁止となっており、侵入者を感知すると警報が鳴るようになっているため、データ回収の都度、警報を遮断する必要があった。

よりシームレスにデータにアクセスし、より効率的にデータ管理ができるよう、出光美術館では、Bluetooth(BLE)通信データロガーMX1101を採用し始めた。展示ケース、日本茶室を含むギャラリーに20台、収蔵庫に15台設置している。

Bluetooth通信を利用することで、測定データを無線で素早くモバイル機器に転送することが可能。ケーブルの接続、インターネットへのアクセス、ソフトウェアのインストールは不要だ。

MX1101は、データ回収時の利便性や時間効率の向上といった点で美術館に大きなメリットをもたらしている。また、軽量でコンパクトなため、美術品の輸送時のモニタリングにも非常に有用。
なにより、美術館職員にとって、データ回収時に展示ケースを開けて美術品が所蔵されている環境を変えてしまうことがないということはとても重要だ。

「以前は設定やデータ回収作業に1時間以上時間がかかっていましたが、今は15分程度で作業を終えることができます。」

MX1101は見通しで30m範囲内の無線通信が可能。日本茶室内に設置しても、警報を切ることなく遠隔で操作ができるようになった。

出光美術館サイト
http://www.idemitsu.co.jp/museum/

 

HOBO and Onset are tredemarks of Onset Computer Corporation, Bourne, Massachusetts(USA)

 

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